2013年7月11日木曜日

ニセモノについて

私はかつて、有料ボランティアということばにぶつかって、仰天したことがあった。

私は自分をコトバ屋だと思っている。コトバというものが、もとより事実を100パーセント正確に表現できるものではないことは、百も承知二百も合点だ。この原則は、私たちが日常接したり、使ったりしている日本語だけではなく、英語でもフランス語でもドイツ語でもロシア語でも、あらゆる言語に共通して存在している(それぞれカタチは異なるだろうが)。

だから、インチキ屋、あらゆる方面のインチキ屋は、それぞれの言語の特質に応じて、それを利用して、とんでもないウソを言ってきた。

たとえば、これは笑い話みたいだが、そのむかし、江戸城内にも天気予報士みたいなのがいて、「明日は雨が降り申す 天気ではござらぬ」などと言っていたそうだ。「あしたは雨が降ります。お天気ではありません」と、このことばを解釈すれば、あくる日が雨天ならば予報があたったことになるし、「明日は雨が降る天気ではありません」と解すれば、翌日がもし晴天に恵まれた日になれば、それはそれで予報的中ということになる。

しかし、最初の有料ボランティアは、私にはどうにも受け入れがたい。だいたい英語でいうvolunteerは、一般に、志願者、有志者、他人から強制されず、自発的に公共の業務に服する(というか、買って出る)人間と解され、語源はラテン語のVOLUNTAS (ウォルンタス、意思、意図、決心)からきている。

もちろん、人からやとわれて金銭のために働くのではなく、他人に強制されて作業や軍務などに服するのでもなく、自分自身で「これはどうしても私がやらなければならない」と考えて、ことにあたる人間、それが「ボランテイア」だ。仕事の対価めあてに、あるいはそれをもらって何かの作業にあたる人間をボランティアとは決していわない。

私には、こんなことばを英訳・仏訳できない(よほどの説明をクドクドと付け足さない限り)。

だって、白い黒板(ホワイトボードは、べつものだ)、真紅の白バラなど、あなたはイメージできるか。これを「形容矛盾」と呼ぶ。有料というコトバとボランティアというコトバを並べるのも、それとまったく同様のコトバの使用上のルール違反である。単なるアルバイトと呼ばなければ、こんな連中には通用しない。

NPO(non-profit organization、非営利団体)という組織が、いくつもある。 本来、米国で戦後さまざまな形態をとって生まれたもので、非政府、非営利をうたった、公共目的でのボランティア活動が主たる目的である。詳しいことは省くが、税制上の優遇措置・郵便料金の大幅な割引などが認められており、日本でも1995年の阪神淡路大震災以降、特定非営利活動促進法が作られ、NPO法人がいくつもできた。

米国でのNPO法人(いとも簡単にこの法人格が得られる)のことはよく知らない。日本のNPO各組織は、多くは公共的な目標を掲げ、諸方面からの寄付金、補助金、助成金をもとに活動を展開している。

そのほとんどは、まともな目的のために、利益などを考えずに営々と努力を重ねているが、 一部には諸団体からの寄付金を芳しからぬ用い方をしている怪しげなNPO法人もあると聞く。もし、このうわさが本当ならば、まともなNPO法人の面汚しとも呼ばれかねまい。

万一、そんな組織があれば、まさにニセモノNPOだろう。それが根拠のないうわさであってほしいと切に思う。

しかし、そんなことよりもっともっと許せないのは、そもそも公共的法人をうたいながら、アロマテラピーを、正確にいえばアロマテラピー団体会員としての資格を与えることを商売として、大金をせしめている協会が、毎年試験を受けさせ、受験料を人びとから集め、会員費をとって、さらにもうけていることである。そこで安月給で働かされている職員は、その団体が大きな金庫に何億もの大金を唸らせているのをちゃんと見ている。

会員費を毎年支払わないと、その団体で講習を受けて得た資格をエゲツなく奪い取る。英国のIFA(国際アロマセラピスト連盟)も同じことをやっていることを私はすでに確かめた。
日本でも英国でも、エゲツない人間にはこと欠かないとみえる。これも、私は一種のニセモノだと思う。こんな組織にアロマテラピー団体だなどと名乗ってほしくない。そもそも、そんな資格など、彼らにはない。

ルネ=モーリス・ガットフォセ、マルグリット・モーリー、ジャン・バルネ博士らが今日の英国・日本のアロマテラピー商売を見たら何というだろうか。私も遠からずあの世(とやらいうものがあれば)に行く身だが、このままでは彼らにあわせる顔がない。彼らに「お前は30年近く何をしていたのか」と罵倒されても返すコトバが見つからない。

精油もニセモノだらけ、最近のアロマテラピー関連図書も、その本のコトバを見れば、その著者のアロマテラピー理解がいかにも薄っぺらで、かぎりなくニセモノに近いものばかりだと一目でわかる。各精油販売会社で出している精油のびんをカラー写真で本に掲載することにどんな意味があるのか。私は安ものの金属に金メッキしたアクセサリーを眺めるような、はてしない虚無感に襲われてどうしようもない。ニセモノ、ニセモノ、ニセモノ・・・・・・

一度、ジャン・バルネ博士の本を、マリア・リズ=バルチン博士の書物(ほかにもいろいろある)などをじっくり読み直してほしい。○○協会会員なんて、私はアロマセラピストのニセモノであるといわんばかりの肩書きなど、なぜあなたに必要なのか。よく考えてみて頂きたい。

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