2013年10月30日水曜日

精油の化学① 酸類

 前回は、このブログをご覧になっている方(つまり、日本のアロマ界の現状を憂えている方がたととらせていただいてもよいだろう)の人数が、2万人の大台に載ったことを記念して書いたつもりである。異論反論、大歓迎。望むところだ。
 
 今回は、アロマテラピーに不可欠な精油の化学の知識の一端について述べさせて頂こうと思う。
 アロマテラピー界の現状につき、日本人の「民度」の低さについて悲憤慷慨(ひふんこうがい)するのも結構だが、やはり、アロマテラピーの化学ないし科学についての知識がなくては、万事お話にならない。その世界の改革も革新もネオアロマテラピーもあったものではないからだ。
 
 いま、アロマテラピー用に市販されている精油は、多くみつもって100種にものぼるらしい。しかし、ふつうのアロマテラピーでは、それよりずっと少数の精油しか使用されていない。だから、それを使う立場の人びとは、それらの化学的構成、ならびにそれらの心身にたいする作用などについては、比較的学びやすいし覚えやすい。
 
 本稿では、そうした市販の精油について、その主要な化学的成分類の、それぞれの特異な心身にたいする作用についてまとめてみた。ただし、注意すべきことは、ある精油の効用をそれが含有する数種の化学成分の働きのみに帰してこと足れりとする態度は、厳につつしまなければならないという事実である。それぞれの成分の相乗作用、その他の稀少成分の作用もしっかり把握しなくてはいけない。
 
 日本のアロマセラピストは、法律に定められた「医業」は行えない。しかし、フランスの医師資格をもつアロマテラピー研究家たち、たとえばDuraffourd(デュラフール)、Lapraz(ラプラス)そして故ジャン・バルネなどの各博士は、精油の医薬としての効果を丹念に調べ、医学の新しい地平を拓(ひら)いたし、いまも開拓しつつある。
 
 こうした研究家たちの得た知識も、たとえ実地に医業にあたらないわが国のセラピストであろうとも、それも念頭においてトリートメントにあたれば、過誤をおこすことなくしっかりした成果があげられよう。したがって、ここでは過度に専門に走らず、基本的にアロマセラピストの方がたが知っておいたほうがよいと私が考えた「精油の化学」的知識を述べさせて頂こうと思う。
 
 以下あげる精油のいろいろな成分は、みんなC(炭素)、H(水素)、O(酸素)の三種類の元素だけからできている。ただし、テルペン類はC、Hのみからなる。
 
 ◎酸 類
  ・効果① ー 非常に強力な抗炎症作用
     ② ー 体温低下作用
     ③ ー 血圧降下(降圧)作用 
 酸類は、少量成分だが、強い効力を示す(エーテル・エステルの形で)。たいてい何か他の成分と結びついた形態で精油中に存在する。
 
  ・酸類が比較的多い精油 ー  クローブ(Eugenia caryophyllata)油。フトモモ科の木本の花芽から抽出した精油 
  フレグラントウィンターグリーン(Gaultheria fragrantissima)油。ツツジ科の木本の葉からとった精油。メチルサリチレートの含有量が、きわめて多い。 
  ジュニパー(Juniperus communis)油。ヒノキ科の木本の液果のついた小枝を蒸留して抽出した精油。カンフォレン酸の含有量が多い。ただし、変種によってはクマリン酸(ウンベリフェロン)をかなり多量に含むものもある。 
  フウロソウ科のゼラニウム(Pelargonium graveolens)油。ローズゼラニウムとしていろいろな変種がある。いずれもオキシド類の形で酸類を含有する。

各種の精油が含む酸類
 酢酸、カンフォネル酸、シトロネル酸、蟻酸、ゲラニル酸、ピン酸
(Pinus sylvestris〔スコッチパイン〕の針葉にとくに多い)、サリチル酸

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