2013年10月8日火曜日

精油(エッセンス)の効果と作用④

そのほかにも、さまざまな作用が精油にはある。
たとえばラベンダー油には、癒傷作用がある。これは、ルネ=モーリス・ガットフォセが「アロマテラピー」に想到するよりも、ずっと前からラベンダー油を香料会社の工場に納入していたフランスの農民たちが発見していたことだ。

しかし、なぜ真正ラベンダー油が傷をなおす力を発揮するのかは、いまだに科学的に解明されていない。だが、このことをルネ=モーリス・ガットフォセが世にひろく知らせていらい、アロマテラピーを学ぶものは、イの一番にこの精油の鎮静作用とともに、これの癒傷作用を知ることになる。そして、その無数の例があげられている。

だのに、その作用機序はいまだにはっきりわかっていないのだ。ラベンダー油に含まれる各種成分とビタミンCとが相乗的に働くためではないかという仮説を提出している学者もいるが、これも確かなわけではない。日本の各種アロマ協会のいろいろな金儲け目的のテストにも、このことはその試験問題として出たためしは一度もない(これにまっこうから答えられる「先生」方は、おいでにならんでしょう。ふふふ)。

ガットフォセは、アロマテラピーでは、テルペン類を除去した精油を使うように勧めている。今日、英国などのいわゆる「ホリスティックアロマラピー」の関係者が声高(こわだか)に叫んでいること、すなわち「脱テルペン精油は、天然自然から遠ざかった存在だ(だから、治癒力が乏しい)」という主張、あるいはジャン・バルネ博士の「トータルな精油を信頼しよう」という信念と、およそ正反対の考え方である。多くのアロマ関係者は、このことに触れたがらないが、私は敢えてこれに言及しておく。

ガットフォセは、精油はできるだけ精製した精油、いってみればホール(Whole)なもの、とはまるきり反対の精油を使わなければ、精油の効き目は期待できず、精油を用いた治験で多くの医師が失敗の苦汁を味わってきた理由はここにあるとガンコに言い張っている。このことを現代の私たちが完全に否定しきれるかどうかが問題だろう。

彼が医学的知識に暗かったせいだというだけでは、本当の反論にはならない。ルネ=モーリスの会社が製造していた精油が脱テルペンしたものだったことを、そう言って正当化しようとしたのだろうといっても想像の域をでない。きちんと医学的・化学的にじっくりと、それが正しいか否かを考察する必要があるだろう。

ルネ=モーリスの主張を肯定するにせよ、否定するにせよ、このことは重要な作業である。

ガットフォセはさらに、多くの脱テルペン精油(真正ラベンダー油を含めて)は、ベルガモット油にどんどん近い存在になるとも言っている。

だとすれば、現在、アロマテラピー関係者が、製造したり販売したりしている精油の多くは存在理由がなくなってしまうことになりはしまいか。ルネ=モーリスのこの考えは、果たして正しいだろうか。

ユーカリ油やカンファー油などのいくつかの精油は、呼吸器系に明瞭な効果をもたらすことは、すべてすでに科学的ないし医学的に説明がついている。

かんたんに言えば、その精油成分が呼気・吸気の通路を塞ぐ状態の余分な水を抑制し、気道を拡大させて局所的に効果をあげることで、呼吸をらくに行えるようにするからだ。

日本では、大正製薬という会社から『ヴィックスヴェポラッブ』という指定医薬部外品(塗布剤)が出ている。これは、ユーカリ油、カンファー油、l-メントール、 杉葉(さんよう)油などが配合されており、これを胸部、頸部、背中に大人の場合、1回につき6~10g(小児ならもっと少なめに)をすりこむと、体温で精油成分が蒸散して鼻腔・口腔から(精油の一部は経皮吸収もされるだろう)呼吸器に入って、かぜ・インフルエンザ・喘息などで気道がせばまって苦しい症状を大幅に緩和できる。

カンファー油のような精油はまた、リウマチ性の疾病や関節炎その他の炎症を生じた部分に局所的に適用する。10mlのホホバ油に精油を3~4滴まぜて皮膚にマッサージしながらすりこむと、炎症を鎮め、痛みを和らげることができる。これも、科学的に説明がつく。

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