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2015年7月7日火曜日

ティートリー油についてもっと詳しく-2

この記事は、前回の「ティートリー油についてもっと詳しく-1」の続きです。

以上のほかに、セスキテルペン類が10種以上(その総量は0.2%)、酸化セスキテルペン類が4種、未知の成分が20種以上(0.1%)含まれている。市販のティートリー油には、ヘキサノール、アリルヘキサノエート、カンファー、ピペリトンが添加されていることが多い。

ティートリー油は、通常、皮膚に適用され、皮膚から体内に吸収される。
一般に分子のサイズが小さいほど、皮膚に吸収されやすい。したがって、ティートリー油は、たとえばオリーブ油などよりはるかに経皮吸収されやすい。

ティートリー油は、未希釈のまま皮膚にすりこむと、数分のうちに皮膚内部に吸収される。この吸収されるスピードは、皮膚の温度に依存し、皮膚温が高いほど吸収される速度は高まる。肌が暖かいほど、毛孔は開き、皮脂腺・汗腺などの活動も盛んになり、血流も勢いが増大する。
ティートリー油は、組成成分の協働・相乗効果により、いっそうその吸収される速度がアップされる。

ティートリー油も、質のよいものとよくないものとが市販されているのが現状である。ここで、平均的なティートリー油のMIC値(微生物の最小発育阻止濃度)を示したい。ティートリー油は大半の病原性のグラム陰性菌、グラム陽性菌ならびに真菌にたいして、0.25~1.0%v/v(体積濃度)のレンジで効果を示す。

In vitroでの数百回に及ぶ試験により、ティートリー油(<シネオール分<5%、テルピネン-4-オール分>40%のもの)は、下記のものを含む広いスペクトラムの微生物に効果を示す極めて効果的な精油であることがわかった。

・グラム陰性菌(ならびにそれに有効なティートリー油量をv/vで示す)
Escherichia coli (大腸菌) 0.25-0.5
Klebsiella pneumoniae (肺炎桿菌) 1.0-2.0
Citrobacter spp. (腸内細菌科の一属でクエン酸を炭素源として利用
する運動性細菌類)
0.5-1.0
Shigella sonnei (ゾンネ赤痢菌) 0.5
Proteus mirabilis (プロテウス属菌) 0.5-1.0
Legionella spp. (レジオネラ属の肺炎菌類) <0.75-1.0
Pseudomonas aeruginosa (シュードモナス属の緑膿菌) 2.0-5.0
Pseudomonas fluorescens (シュードモナス属の細菌。
土・水・腐敗した食物などに見出されるもの)
5.0
Vibrio fluvialis (ビブリオ属の食中毒菌) 0.625

・グラム陽性菌
Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌。
中毒性ショック症候群をおこし、それに伴って、
腎・肝・中枢神経の各種症状を惹起し、また
蜂窩織炎、膿血症、肺炎、髄膜炎、心内膜炎などを
生じさせる病原性菌)
0.25-1.25
Staphylococcus epidermidis (表皮ブドウ球菌) 0.5-2.5
Listeria monocytogenes (リステリア菌) 0.75
Micrococcus luteus (髄膜炎菌の原因菌) 0.75

・真菌類
Trichophyton mentagrophytes (毛瘡白癬菌。
イヌ、ウマ、ウサギ、マウス、ラット、キツネ、
ヒトなどで皮膚糸状菌症を発症させる真菌)
0.75
T.rubrum (紅色白癬菌。足白癬や股部白癬、
爪の感染症の原因真菌)
0.5
Aspergillus niger (黒色アスペルギルス。
病原性をもつことは稀。外耳道にみられる)
1.0
Aspergillus flavus (黄色アスペルギルス。
ヒトや動物類に侵襲性アスペルギルス症をおこす)
0.25-0.75
Candida albicans (カンジダアルビカンス。
体内の微生物叢のバランスが崩れたり、
自己免疫力が低下したときに、粘膜感染症、
心内膜炎、敗血症、髄膜炎を含む
重い致命的な多様な疾患を引きおこす)
0.25-1.25
Microsporum canis (イヌ小胞子菌。
イヌ・ネコの白癬の主要となり、ヒトにも感染する)
1.0
Microsporum gypseum (石膏状小胞子菌。
イヌ・ウマの皮膚糸状菌症の原因となる)
1.0
Penicillium spp. (ペニキリウム属。
ペニシリンを産生するものもあれば、
病原性のものもある)
0.75

(注)抗真菌力の強い精油はあまりないので、その意味でもとくにティートリー油の存在は貴重である。

2015年6月26日金曜日

ティートリー油についてもっと詳しく-1

ティートリーというオセアニア原産の木本植物から抽出された精油は、この高木自体がヨーロッパ人に知られてからの歴史も浅く、香料原料とされてこなかったこともあり、アロマテラピーでもまだまだ、それにふさわしい扱いをうけていないように思う。
そこで、このティートリー油について、いくつか思いつくままに、それの特色、注目すべき点、身近な利用法などについて、2回にわたって載せてみようと考えている。

フトモモ科(Myrtaceae)には、何千もの種・亜種が含まれる。この科の植物のほとんどが、エッセンスを収めたエッセンス嚢を有する芳香を放つ葉をもつ。
マートル(ギンバイカ)、ニアウリ、ベイラム(ピメンタ)、カユプテ、クローブ、そしてユーカリ、ティートリーなどがこの科に属する。

ティートリーは、フトモモ科に属するMelaleuca属(コバノブラッシノキ属)の樹木の一種で、コバノブラッシノキ属には、150種にもなるティートリーの各種がある。
この中でもっもと有名なのがMelaleuca cajuputi(カユプテ)とMelaleuca quinquenervia(ニアウリ)であり、いずれも殺菌作用で名高い。しかし、それに次いで有名なMelaleuca alternifolia(ティートリーのスタンダードになる種)の精油には、広いスペクトラムのひときわパワフルな殺菌力がある。

ティートリーは、オーストラリアのニューサウスウェールズの比較的狭小な地域に生育する。
このほかの地区でも、この植物は育たないわけではないが、それから抽出した精油が殺菌力においてはるかに弱いのは、なぜだろうか。

学名のMelaleuca alternifoliaについて考えてみよう。Melaは「黒い」、「ダーク」なという意味、leuca(文法上leuconが原形)は「白い」を意味する。この樹木の外観からきた名である。黒を思わせる濃緑の葉と白い幹との色の対比を思いうかべてほしい。種小名のalternifoliaは「葉が交互についている」ということである。

ティートリー油の成分は、1968年に12種が、1978年に48種がつきとめられた。現在はさらに多くの成分の存在が判明しつつある(100種をはるかに超している)。これらの成分はいずれも協働的・相乗的に作用して、ティートリー油の有効性を担保している。その有効性には、他の精油類にはみられぬユニークなものがある。

ティートリー油には、テルペン類、ピネン類、シメン類、テルペン系シネオール類、セスキテルペン類、セスキテルペンアルコール類が含まれ、さらに植物には通常含まれない少なくとも4種の特殊な組成成分が見出されている。それはビリジフロレン(0.95%)、β-テルピネオール(0.25%)、L-テルピネオール(痕跡量)、アリヘキサノエート(痕跡量)である。
原木をランダムに選んで、葉を採取して蒸留してみても、たとえばシネオール含量には2%から60%ないしそれ以上のひらきがある(植物学的にはすべて同一の原木なのにである)。

このティートリー油の主要成分の一つ、1.8-シネオールは、ご存じのとおりユーカリ油に多量に含まれている成分である。これがユーカリ油のカンファーに似た、いかにもユーカリらしい香りに貢献している。ティートリー油のシネオール分が異常に多いときには、そのティートリー油はユーカリ油で偽和されている可能性がある。シネオールは皮膚に浸透しやすい特性がある。これが腫れものなどに有効なのだが、15%を超す含有量だと、皮膚刺激作用を示し、アレルゲンとなる。

この成分に関することは、あとで改めて述べることとして、いまわかっているティートリー油の主要な成分をまずあげておきたい。もちろんこれは一つの目安である。

成分(%で示す)
α-ピネン 2.5      γ-ムウロレン 痕跡量
α-p-ジメチスチレン 痕跡量      グロブロール 0.2
レドール 痕跡量 ビリジフロール 0.1
ロシフォリオール 痕跡量 スパツレノール 痕跡量
cis-p-メント-2-エン-1-オール 0.1 テルピネン-4-オール 40
α-ブルネセン 痕跡量 カンフェン 痕跡量
α-ツエン 0.9 β-ピネン 0.3
α-アモルフェン 痕跡量 p-シメン-8-オール 痕跡量
リナロール 痕跡量 サビネン 0.2
α-クベベン 痕跡量 α-フェランドレン 0.3
α-イランゲン 痕跡量 1.9-シネオール 痕跡量
cis-サビネンハイドレート 痕跡量 リモネン 1.0
β-フェランドレン 0.9 1.8シネオール 0.1
α-グルユネン 0.2 トランス-ピペリトール 痕跡量
テルピノレン 3.2 クベノール 0.1
メンチュオイゲノール 痕跡量 β-カリオフィレン 0.1
アロマデンドレン 1.4 β-グルユネン 0.1
β-エレメン 0.1 δ-カジネン 1.2
アロ-アロマデンドレン 0.3 α-フムレン 痕跡量
ビリジフロレン 1.0 α-テルピネオール 2.3
α-ムウロレン 0.1 トランス-p-メント-2-エン-1-オール 0.2
パルストロール 痕跡量 ビシクロドルマクレン 0.1
γ-シメン 2.8 ミルセン 0.5
トランス-サビネンハイドレート 痕跡量 cis-ピペリトール 痕跡量
カジナ-1.4-ジエン 0.1 α-テルピネン 10.4
カラメネン 0.1 ネロール 痕跡量
α-コパエン 痕跡量 トランス-6-オシメン 痕跡量
1.2.4-トリヒドロオキシ-p-メンタン 痕跡量     

2014年11月13日木曜日

〔コラム〕ペットへのアロマテラピーについて一言

 近ごろでは、少子化と裏腹にペットを飼う人間が異常というか、異様にふえている。
ペットとして飼養される動物のチャンピオンは、なんといっても、イヌとネコだろう。あとは、小鳥や魚類(古典的な金魚、あるいは熱帯魚、広い池が邸内にあればニシキゴイなんてところか)や、ゲテモノ好きにはヘビ・トカゲ・カメレオン・カメなどの爬虫類などもあげられるだろう。
 
 ここでは、イヌ・ネコに限ってお話ししたい。身近にこれらを飼っている人間がとくに多いからだ。
 では、本題に入る。
 私がアロマテラピーを足かけ30年前に日本に紹介してから、英国・フランス以上に、わが国ではそれこそ猫も杓子(しゃくし)もこの自然療法を、その実体を、その本質をろくに理解しないままもてはやすようになった。
 その結果、インチキな「アロマテラピー」がさまざまな形態で横行することになり、市販の「アロマテラピー用精油」の90パーセント以上が完全な偽物精油という状況が生まれてしまった。これについては、強調しすぎることはあるまい。
 
 日本人は、本当におとなしい。こんな精油で効果(プラシーボ効果以上の効果)が生じたら、キリストの復活以来の奇跡といってよい。高価な精油を購入し、それを自分の体に適用して効果がみられない場合、欧米人だったら精油の販売店に、精油のメーカーないし販売代理店にクレームをつけずにはおくまい。しかし、「お・も・て・な・し」の「美風」をよしとする大半の日本人は、それが中国産・韓国産のものだったら、目を三角にしてイキリ立つかもしれないが、おフランス産とかオーストラリア産とかいったラベルの精油・エッセンスになると、「アタシの体のほうが悪いんだわ」とムリヤリ自分を納得させてしまう。そして、この療法自体にムリがあるのではないかとの疑問を公けにするとか、「アタシの買った精油、本当にピュアなの? その証拠を見せてちょうだい」などと販売店にネジこんだりとかする行為には、まず絶対に走らない。私のようなヘソ曲がりは、千人に一人ぐらいなんだろう。
 
 しかし、その精油を使ったら、体調を崩してしまったと口に出していえる人間はまだよい。近ごろでは、自分の飼っているイヌ・ネコに、強引にアロマテラピーを施す人間がいる。よく考えてほしい。精油はテルペン類・アルデヒド類・テルペノール類・エステル類・ケトン類・酸類・フェノール類・オキシド類、例外的だが硫化物類などからなっている。人間の肉体は、これらを吸収してしかじかの効果を発揮させたのち、これらを代謝・分解し、排せつする働きが備わっている。むろんその精油が本物で、用法・用量が適切だったらの話ですよ。
 しかし、イヌ・ネコのような本来、肉食系の動物には、これらの成分のうち、代謝・分解できないものがあるのだ(代謝するための酵素がもともとつくれない)。それは、イヌ・ネコにとって毒物になってしまい、イヌ・ネコを病気にしたり、その命までも奪ったりしてしまう結果をもたらす。比喩として、穏当を欠くかもしれないが、ネコもヒトも体内で代謝分解できないメチル水銀が原因で、水俣病がおこったことを想起されたい。いま、たくさんのペットが、無知な飼い主の施す「アロマテラピー」の犠牲になって死んでいる。古い昔からの人類の友であるこうした動物たちの日本における実状を知ってほしい。
 
 半可通の、というより何も知らぬ人間の得手勝手なひとりよがりで「アロマテラピー」の犠牲にされるペットたちこそ哀れである。
 獣医師でもアロマテラピーについて、またそれを動物に施す際の的確な技術について十全に通じているものは、稀有といってよい。いままで、従来のさまざまな技術で動物の病気をちゃんと治してきた獣医たちが、何が悲しくて「アロマテラピー」などをいま慌てて採用する必要性が、必然性があるのか。
 
 結論として申しあげる。イヌ・ネコなどのペットを対象としたアロマテラピーは、不必要の一語に尽きる。 

2013年10月8日火曜日

精油(エッセンス)の効果と作用④

そのほかにも、さまざまな作用が精油にはある。
たとえばラベンダー油には、癒傷作用がある。これは、ルネ=モーリス・ガットフォセが「アロマテラピー」に想到するよりも、ずっと前からラベンダー油を香料会社の工場に納入していたフランスの農民たちが発見していたことだ。

しかし、なぜ真正ラベンダー油が傷をなおす力を発揮するのかは、いまだに科学的に解明されていない。だが、このことをルネ=モーリス・ガットフォセが世にひろく知らせていらい、アロマテラピーを学ぶものは、イの一番にこの精油の鎮静作用とともに、これの癒傷作用を知ることになる。そして、その無数の例があげられている。

だのに、その作用機序はいまだにはっきりわかっていないのだ。ラベンダー油に含まれる各種成分とビタミンCとが相乗的に働くためではないかという仮説を提出している学者もいるが、これも確かなわけではない。日本の各種アロマ協会のいろいろな金儲け目的のテストにも、このことはその試験問題として出たためしは一度もない(これにまっこうから答えられる「先生」方は、おいでにならんでしょう。ふふふ)。

ガットフォセは、アロマテラピーでは、テルペン類を除去した精油を使うように勧めている。今日、英国などのいわゆる「ホリスティックアロマラピー」の関係者が声高(こわだか)に叫んでいること、すなわち「脱テルペン精油は、天然自然から遠ざかった存在だ(だから、治癒力が乏しい)」という主張、あるいはジャン・バルネ博士の「トータルな精油を信頼しよう」という信念と、およそ正反対の考え方である。多くのアロマ関係者は、このことに触れたがらないが、私は敢えてこれに言及しておく。

ガットフォセは、精油はできるだけ精製した精油、いってみればホール(Whole)なもの、とはまるきり反対の精油を使わなければ、精油の効き目は期待できず、精油を用いた治験で多くの医師が失敗の苦汁を味わってきた理由はここにあるとガンコに言い張っている。このことを現代の私たちが完全に否定しきれるかどうかが問題だろう。

彼が医学的知識に暗かったせいだというだけでは、本当の反論にはならない。ルネ=モーリスの会社が製造していた精油が脱テルペンしたものだったことを、そう言って正当化しようとしたのだろうといっても想像の域をでない。きちんと医学的・化学的にじっくりと、それが正しいか否かを考察する必要があるだろう。

ルネ=モーリスの主張を肯定するにせよ、否定するにせよ、このことは重要な作業である。

ガットフォセはさらに、多くの脱テルペン精油(真正ラベンダー油を含めて)は、ベルガモット油にどんどん近い存在になるとも言っている。

だとすれば、現在、アロマテラピー関係者が、製造したり販売したりしている精油の多くは存在理由がなくなってしまうことになりはしまいか。ルネ=モーリスのこの考えは、果たして正しいだろうか。

ユーカリ油やカンファー油などのいくつかの精油は、呼吸器系に明瞭な効果をもたらすことは、すべてすでに科学的ないし医学的に説明がついている。

かんたんに言えば、その精油成分が呼気・吸気の通路を塞ぐ状態の余分な水を抑制し、気道を拡大させて局所的に効果をあげることで、呼吸をらくに行えるようにするからだ。

日本では、大正製薬という会社から『ヴィックスヴェポラッブ』という指定医薬部外品(塗布剤)が出ている。これは、ユーカリ油、カンファー油、l-メントール、 杉葉(さんよう)油などが配合されており、これを胸部、頸部、背中に大人の場合、1回につき6~10g(小児ならもっと少なめに)をすりこむと、体温で精油成分が蒸散して鼻腔・口腔から(精油の一部は経皮吸収もされるだろう)呼吸器に入って、かぜ・インフルエンザ・喘息などで気道がせばまって苦しい症状を大幅に緩和できる。

カンファー油のような精油はまた、リウマチ性の疾病や関節炎その他の炎症を生じた部分に局所的に適用する。10mlのホホバ油に精油を3~4滴まぜて皮膚にマッサージしながらすりこむと、炎症を鎮め、痛みを和らげることができる。これも、科学的に説明がつく。

2013年10月4日金曜日

精油(エッセンス)の効果と作用③

抗ストレス作用。たぶん、いろいろな精油を通じて、いちばん著明にみられる作用ではないかと思う。この効果はたぶん大脳辺縁系そのほかの大脳中の諸部分を通じて発現するものと私は考えている。

精油のこの効果はCNV(随伴性陰性変動)その他に示され、脳のある部分はリラックスし、ほかのところは刺激を受けて励起していることがわかる。

マッサージ自体、リラックス効果があることがよくわかっている。心身をリラックスさせる力をもつ精油をこれに組み合わせて用いると、十分な抗ストレス作用が期待できる。
これは、私自身、知り合いの女性セラピストにそのような精油を使って施術してもらったことがあるので、その経験から、よく納得できる。

ストレス(肉体的・精神的)は、いずれも身体のなかに蓄えられているエネルギーならびに中間代謝システムに、ホルモン(アドレナリン効果)および第二次メッセンジャー物質、そして同様の効果を示す各種効果を通じてショックとか恐怖心・闘争本能とかといったものをひきおこす。

この後者は、とくに心拍を亢進させ、体液の循環を促進し、さらにそれとともに襲ってくる恐れのあるものに即座に身体と精神との双方をさっとスタンバイさせる。そうした刺激が消失するとすぐに、体内のプロセスは正常な状態に復する。

しかし、そのようなストレスがずっとつづくと、身体はコンスタントに用心し警戒しつづけなければならない状態におかれることになる。すると、私たちの精神にはパニック発作、問題を直視せずに「ひきこもる」気持ち、うつ状態などが生じ、それと関連した肉体的症状(高血圧、喘息、乾癬、心悸亢進、神経の緊張、神経の極度の疲労、神経衰弱など)が発症するとともに、感染症などにたいして肉体が本来有している、抵抗力も大幅にダウンしてしまう。

したがって、ストレス要因を軽減ないし除去すれば、ストレスに関連しておこる疾患の、少なくとも一部はなおせるということになる。しかし、そうした精神の興奮を十分に鎮静させるには、適当な精油(たとえばラベンダー油など)のみの使用だけでなく、あわせてライフスタイルを変化させるとか、食生活を変えるとかいったほかのファクターも十分に考慮に入れることを忘れるべきではない。

精油類は、あるいはアロマテラピーは、決してそれのみで万能の力を発揮するものではないことを常に念頭において頂きたい。

2013年10月1日火曜日

精油(エッセンス)の効果と作用②

ゼラニウム(Pelargonium ssp.)をはじめ多くの植物の精油には、平滑筋を刺激する働きがあるとされる。そのために、これらの精油のいくつかは胃腸によく効き、その働きを活発化する。これはさまざまな、動物実験で確かめられている。

しかし、人間を対象として実験した場合、こうした効果をもつとされる精油類をキャリヤーオイルで適切に稀釈して胃腸の部分にマッサージした場合、これにより症状が著明な改善をみたというエビデンス(はっきりした根拠・証明)は、いささか少ないのが実情である。

しかし、フランスのアロマテラピーを実践している、少なからぬ医師は、これらの精油を、連日15mlもの量を未稀釈で患者に経口摂取させたり、直腸から直接血液中に入れたりして好結果をみたと報告している。

しかし、英国の研究者・医師などの多くはこの報告自体を疑問視しており、in vivoで、つまり生体内ではもっともっと精油は薄めなければ危険だとしている。

マリア・リズ=バルチン博士は人間の回腸内などでは20万分の1以下の濃度に稀釈しても、これらの精油は活性を示すと警鐘を鳴らしている。

こうした点が英国とフランスとのアロマテラピーの差の一つなのであろうが、精油の経口摂取に関しては、私はこう考えている。

①人間は、そんな高濃度の精油を稀釈しないで飲んだ経験が、人類誕生以来700万年間ないことから、人間の身体は、それをうまく受け入れ、かつ代謝して排泄するようにはなっていない。

②それに関連して思うのは、このことは精油のみならず、ビタミン剤、ミネラル剤とくにサプリメント類なども含めてあてはまり、こうしたものが含有する栄養分は、やはり通常の食品からさまざまな夾雑物を含めたかたちで摂取するのがもっとも自然で健康的な方法であろうということである。

精油(エッセンス)の効果と作用①

みなさん、アロマテラピーに関心をお寄せになるかぎり、精油のことを考えない日はないと思う。そこで、私自身、ここで初心に立ち帰って、再度、精油(ないし、エッセンス)について検討してみよう。

精油は、疾病を治癒させる力が、どの精油・エッセンス類にもかならずあるか。

答えは残念ながら「ノー」だ。治癒させる力が皆無というのではない。精油の一部に、ときとしてそういう力を発揮させるものがあり、それらを適切に用いてはじめて所期の目的を果たすケースがある、といっておくのが無難である。

精油類を使用しても、各種のガン、そのほかの重い疾患をいやすことは、いまのところ不可能だ。アロマテラピーは、魔術でも魔法でもなく、何か奇跡のようなことを行う治療法でもない。

精油、エッセンスの有する治癒力は、まず第一にそれらがもつ「抗微生物作用」 にある。

抗微生物作用。すなわち、細菌・ウイルス・真菌の増殖を抑えたり、それらを死滅させたりする精油、エッセンスの種類は多く、これまで各種の疫病・伝染病が、これらの力によって防がれ、またそれによって傷のなおりも促された事実がこれまでに厳としてある。

ジャン・バルネ博士が、インドシナ戦争(第一次ベトナム戦争)の際に、未稀釈のティートリー油を傷病兵にたいして局所的に体表に使って、見るべき成果をあげたというが、私はこれは信じてよいと思う。

ティートリー 油は、インドシナ半島から程遠からぬオーストラリアですでに対日戦時に用いられていて効果があったことは、バルネ博士も軍医として知っていたであろうし、これをフランス側に立ってベトナム人の独立を圧殺しようとしていた米国のほとんど属国化していたオーストラリア・ニュージーランドからとりよせることは、比較的容易だったはずだからだ。

しかも、ティートリー油は、ほかの各種の精油と異なり、香料とか香水などの原料として利用されないので、よけいな(しかも人体に危険性を示すかも知れぬ)化学増量剤などを含まず、100パーセントピュアなものであった。そうした精油には、ユーカリなどもあげられる。

ジャン・バルネ博士自身も、この戦場で(インドシナ半島)、何と何との精油を使用したか明確に記していない(これは、博士も医師として不誠実のそしりを免れまい。守秘義務なんてあるわけもないからだ)。
なお、バルネ博士が第二次世界大戦中からアロマテラピーを実践したかのようにいうものもいるが、実際にはこのインドシナ戦争からである。


しかしまた、一部のアロマテラピー関係者が主張するように、たとえばキャリヤーオイル10mlのなかに1~2滴だけ精油を入れてこれを稀釈し、これを患者の全身にマッサージして、その患者の体内の組織・器官に侵入し、感染症を起こした細菌、その他の微生物類にその効果を十分に発揮させるのは、理論的にいってムリである。皮膚表面にキャリヤーオイルに稀釈した精油をマッサージしている間に、無駄に空気中にいかに多量の精油が蒸散してしまうかを考えてみればすぐわかる。

皮膚から体内に浸透する精油の速度は、残念ながらきわめて緩慢なのである。したがってその絶対量も少ない。

また、精油類は人体に悪質な微生物だけを殺し、人間に悪さをしない微生物には何もせず放置するなどというタワケタ主張をするものがいるが、これは全くのウソである。むろん精油によって、その種類によって、それが殺す微生物の種類と総量とに差が生じることは確かだが。

そう世の中は、また自然界というものは、人間にばかり都合よくできているものではない。
バイブルの記述をあまりマトモにうけとってはいけない。