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2015年7月7日火曜日

ティートリー油についてもっと詳しく-2

この記事は、前回の「ティートリー油についてもっと詳しく-1」の続きです。

以上のほかに、セスキテルペン類が10種以上(その総量は0.2%)、酸化セスキテルペン類が4種、未知の成分が20種以上(0.1%)含まれている。市販のティートリー油には、ヘキサノール、アリルヘキサノエート、カンファー、ピペリトンが添加されていることが多い。

ティートリー油は、通常、皮膚に適用され、皮膚から体内に吸収される。
一般に分子のサイズが小さいほど、皮膚に吸収されやすい。したがって、ティートリー油は、たとえばオリーブ油などよりはるかに経皮吸収されやすい。

ティートリー油は、未希釈のまま皮膚にすりこむと、数分のうちに皮膚内部に吸収される。この吸収されるスピードは、皮膚の温度に依存し、皮膚温が高いほど吸収される速度は高まる。肌が暖かいほど、毛孔は開き、皮脂腺・汗腺などの活動も盛んになり、血流も勢いが増大する。
ティートリー油は、組成成分の協働・相乗効果により、いっそうその吸収される速度がアップされる。

ティートリー油も、質のよいものとよくないものとが市販されているのが現状である。ここで、平均的なティートリー油のMIC値(微生物の最小発育阻止濃度)を示したい。ティートリー油は大半の病原性のグラム陰性菌、グラム陽性菌ならびに真菌にたいして、0.25~1.0%v/v(体積濃度)のレンジで効果を示す。

In vitroでの数百回に及ぶ試験により、ティートリー油(<シネオール分<5%、テルピネン-4-オール分>40%のもの)は、下記のものを含む広いスペクトラムの微生物に効果を示す極めて効果的な精油であることがわかった。

・グラム陰性菌(ならびにそれに有効なティートリー油量をv/vで示す)
Escherichia coli (大腸菌) 0.25-0.5
Klebsiella pneumoniae (肺炎桿菌) 1.0-2.0
Citrobacter spp. (腸内細菌科の一属でクエン酸を炭素源として利用
する運動性細菌類)
0.5-1.0
Shigella sonnei (ゾンネ赤痢菌) 0.5
Proteus mirabilis (プロテウス属菌) 0.5-1.0
Legionella spp. (レジオネラ属の肺炎菌類) <0.75-1.0
Pseudomonas aeruginosa (シュードモナス属の緑膿菌) 2.0-5.0
Pseudomonas fluorescens (シュードモナス属の細菌。
土・水・腐敗した食物などに見出されるもの)
5.0
Vibrio fluvialis (ビブリオ属の食中毒菌) 0.625

・グラム陽性菌
Staphylococcus aureus (黄色ブドウ球菌。
中毒性ショック症候群をおこし、それに伴って、
腎・肝・中枢神経の各種症状を惹起し、また
蜂窩織炎、膿血症、肺炎、髄膜炎、心内膜炎などを
生じさせる病原性菌)
0.25-1.25
Staphylococcus epidermidis (表皮ブドウ球菌) 0.5-2.5
Listeria monocytogenes (リステリア菌) 0.75
Micrococcus luteus (髄膜炎菌の原因菌) 0.75

・真菌類
Trichophyton mentagrophytes (毛瘡白癬菌。
イヌ、ウマ、ウサギ、マウス、ラット、キツネ、
ヒトなどで皮膚糸状菌症を発症させる真菌)
0.75
T.rubrum (紅色白癬菌。足白癬や股部白癬、
爪の感染症の原因真菌)
0.5
Aspergillus niger (黒色アスペルギルス。
病原性をもつことは稀。外耳道にみられる)
1.0
Aspergillus flavus (黄色アスペルギルス。
ヒトや動物類に侵襲性アスペルギルス症をおこす)
0.25-0.75
Candida albicans (カンジダアルビカンス。
体内の微生物叢のバランスが崩れたり、
自己免疫力が低下したときに、粘膜感染症、
心内膜炎、敗血症、髄膜炎を含む
重い致命的な多様な疾患を引きおこす)
0.25-1.25
Microsporum canis (イヌ小胞子菌。
イヌ・ネコの白癬の主要となり、ヒトにも感染する)
1.0
Microsporum gypseum (石膏状小胞子菌。
イヌ・ウマの皮膚糸状菌症の原因となる)
1.0
Penicillium spp. (ペニキリウム属。
ペニシリンを産生するものもあれば、
病原性のものもある)
0.75

(注)抗真菌力の強い精油はあまりないので、その意味でもとくにティートリー油の存在は貴重である。

2015年6月26日金曜日

ティートリー油についてもっと詳しく-1

ティートリーというオセアニア原産の木本植物から抽出された精油は、この高木自体がヨーロッパ人に知られてからの歴史も浅く、香料原料とされてこなかったこともあり、アロマテラピーでもまだまだ、それにふさわしい扱いをうけていないように思う。
そこで、このティートリー油について、いくつか思いつくままに、それの特色、注目すべき点、身近な利用法などについて、2回にわたって載せてみようと考えている。

フトモモ科(Myrtaceae)には、何千もの種・亜種が含まれる。この科の植物のほとんどが、エッセンスを収めたエッセンス嚢を有する芳香を放つ葉をもつ。
マートル(ギンバイカ)、ニアウリ、ベイラム(ピメンタ)、カユプテ、クローブ、そしてユーカリ、ティートリーなどがこの科に属する。

ティートリーは、フトモモ科に属するMelaleuca属(コバノブラッシノキ属)の樹木の一種で、コバノブラッシノキ属には、150種にもなるティートリーの各種がある。
この中でもっもと有名なのがMelaleuca cajuputi(カユプテ)とMelaleuca quinquenervia(ニアウリ)であり、いずれも殺菌作用で名高い。しかし、それに次いで有名なMelaleuca alternifolia(ティートリーのスタンダードになる種)の精油には、広いスペクトラムのひときわパワフルな殺菌力がある。

ティートリーは、オーストラリアのニューサウスウェールズの比較的狭小な地域に生育する。
このほかの地区でも、この植物は育たないわけではないが、それから抽出した精油が殺菌力においてはるかに弱いのは、なぜだろうか。

学名のMelaleuca alternifoliaについて考えてみよう。Melaは「黒い」、「ダーク」なという意味、leuca(文法上leuconが原形)は「白い」を意味する。この樹木の外観からきた名である。黒を思わせる濃緑の葉と白い幹との色の対比を思いうかべてほしい。種小名のalternifoliaは「葉が交互についている」ということである。

ティートリー油の成分は、1968年に12種が、1978年に48種がつきとめられた。現在はさらに多くの成分の存在が判明しつつある(100種をはるかに超している)。これらの成分はいずれも協働的・相乗的に作用して、ティートリー油の有効性を担保している。その有効性には、他の精油類にはみられぬユニークなものがある。

ティートリー油には、テルペン類、ピネン類、シメン類、テルペン系シネオール類、セスキテルペン類、セスキテルペンアルコール類が含まれ、さらに植物には通常含まれない少なくとも4種の特殊な組成成分が見出されている。それはビリジフロレン(0.95%)、β-テルピネオール(0.25%)、L-テルピネオール(痕跡量)、アリヘキサノエート(痕跡量)である。
原木をランダムに選んで、葉を採取して蒸留してみても、たとえばシネオール含量には2%から60%ないしそれ以上のひらきがある(植物学的にはすべて同一の原木なのにである)。

このティートリー油の主要成分の一つ、1.8-シネオールは、ご存じのとおりユーカリ油に多量に含まれている成分である。これがユーカリ油のカンファーに似た、いかにもユーカリらしい香りに貢献している。ティートリー油のシネオール分が異常に多いときには、そのティートリー油はユーカリ油で偽和されている可能性がある。シネオールは皮膚に浸透しやすい特性がある。これが腫れものなどに有効なのだが、15%を超す含有量だと、皮膚刺激作用を示し、アレルゲンとなる。

この成分に関することは、あとで改めて述べることとして、いまわかっているティートリー油の主要な成分をまずあげておきたい。もちろんこれは一つの目安である。

成分(%で示す)
α-ピネン 2.5      γ-ムウロレン 痕跡量
α-p-ジメチスチレン 痕跡量      グロブロール 0.2
レドール 痕跡量 ビリジフロール 0.1
ロシフォリオール 痕跡量 スパツレノール 痕跡量
cis-p-メント-2-エン-1-オール 0.1 テルピネン-4-オール 40
α-ブルネセン 痕跡量 カンフェン 痕跡量
α-ツエン 0.9 β-ピネン 0.3
α-アモルフェン 痕跡量 p-シメン-8-オール 痕跡量
リナロール 痕跡量 サビネン 0.2
α-クベベン 痕跡量 α-フェランドレン 0.3
α-イランゲン 痕跡量 1.9-シネオール 痕跡量
cis-サビネンハイドレート 痕跡量 リモネン 1.0
β-フェランドレン 0.9 1.8シネオール 0.1
α-グルユネン 0.2 トランス-ピペリトール 痕跡量
テルピノレン 3.2 クベノール 0.1
メンチュオイゲノール 痕跡量 β-カリオフィレン 0.1
アロマデンドレン 1.4 β-グルユネン 0.1
β-エレメン 0.1 δ-カジネン 1.2
アロ-アロマデンドレン 0.3 α-フムレン 痕跡量
ビリジフロレン 1.0 α-テルピネオール 2.3
α-ムウロレン 0.1 トランス-p-メント-2-エン-1-オール 0.2
パルストロール 痕跡量 ビシクロドルマクレン 0.1
γ-シメン 2.8 ミルセン 0.5
トランス-サビネンハイドレート 痕跡量 cis-ピペリトール 痕跡量
カジナ-1.4-ジエン 0.1 α-テルピネン 10.4
カラメネン 0.1 ネロール 痕跡量
α-コパエン 痕跡量 トランス-6-オシメン 痕跡量
1.2.4-トリヒドロオキシ-p-メンタン 痕跡量     

2014年2月27日木曜日

精油の化学⑫ フェノール類

フェノール類
  ・効果
     ① ー 強力な抗感染作用
     ② ー 殺菌・殺ウイルス作用
     ③ ー 殺真菌作用
     ④ ー 殺寄生虫作用
     ⑤ ー 免疫力刺激強化作用
     ⑥ ー 血圧上昇(昇圧)作用
     ⑦ ー 強壮作用
     ⑧ ー 体温上昇作用
     ⑨ ー 充血作用
 
 ◎注意
  フェノール類には、生化学的に危険な成分(肝毒性、皮膚焼灼〔しょうしゃく性など)をもつものがある。 
 
 ◎フェノール類を多く含有する精油類
  カシア(中国シナモン)(Cinnamomum cassia)油
   クスノキ科のこの木本の葉のついた小枝を蒸留抽出した精油。
   これには、フェノール類(0.5%)、2-ビニルフェノール(0.4%)、イソオイゲノール(1.7%)、カビコール(0.6%)、4-エチルグアヤコール(2%)…総計5〜6%
   が含有されている。皮膚焼灼性があるため5歳未満の小児に外用は禁忌。
  ユーカリ ポリブラクテア種(Eucalyptus polybractea cryptonifera)油
   フトモモ科の木本の葉から抽出する精油。テルペンフェノール類として、アウストラロール、カルバクロールを含む。
  クローブ(Eugenia caryophillata)油
   この木本の花芽を蒸留した精油。
   フェノール類としては、オイゲノール(70〜80%)、シスおよびトランスイソオイゲノール、カビコール(0.29%)、4-アリルフェノールを含有。
  オリガヌム コンパクトゥム種(Origanum compactum)油
   シソ科の草本オリガヌム(オリガナム、オレガノとも呼ぶ。いずれも英語名)の花の咲いた先端部分と葉とから蒸留抽出する精油。
   モノテルペンフェノール類を70〜80%も含む。その内訳はカルバクロール(主成分)、チモールである。
   皮膚焼灼性が強いので、皮膚への適用には要注意。
  オールスパイス(Pimenta dioica)油
   ジャマイカ原産のフトモモ科のこの木本の葉を蒸留した精油。
   フェノール類は、オイゲノール(70〜95%)、イソオイゲノール(6%)、カビコール(0.3%)。
   この果実は、香味料として有名で、完熟前に採取して天日で干したものを挽いて用いる。これは、クローブ、ナツメグ、シナモンを合わせたほどの香味があることから、オールスパイスと呼ばれる。
  ブラックペッパー(Piper nigrum)油
   コショウ科のつる性木本の果実から蒸留した精油。
   フェノールメチルエーテル類が(パラシメン-8-オールメチルエーテル、カルバクロールメチルエーテル)含まれる。
   この木は、インド南部の原産で、熱帯各地で栽培。むかしは黄金に匹敵するほど高く評価されたことは有名。果実はエンドウ豆大の液果。熟すると赤くなる。この未熟果を干したものがブラックペッパー。成熟果を果皮を除いて干したものをホワイトペッパーと称する。肉の臭みを消すのに古来重宝された。ペッパーは英語でpepper(ペッパー)、仏語でpoivre(ポワーヴル)といい、いずれもサンスクリット語の「ピッパリ」に由来する。属名のPiper(ピペール)も同じである。
  ウィンターセーボリー カルバクロールケモタイプ(Satureia montana ssp. montana carvacrolifera)油
   シソ科のこの草本を生乾きにしたものを蒸留してとる。
   近縁の植物にサマーセーボリー(Satureia hortensis)がある。これからも精油はとれる。いずれの精油も成分は似通っており、フェノール類としてカルバクロールを3〜67%含み、チモールを1〜49%含有する。
  タイム チモールケモタイプ(Thymus vulgaris thymoliferum)油
   シソ科のこの小低木の花の咲いた先端部分を蒸留して得る。フェノール分は、チモールケモタイプでチモールが32〜63%、カルバクロールケモタイプでチモールを1〜33%、カルバクロールで23〜44%。これと近縁のワイルドタイム(別名 セルピルム)油は、チモールを1〜16%、カルバクロールを21〜37%をそれぞれ含有。
  アジョワン(Trachyspermum ammi)油
   このセリ科の草本の成熟果を蒸留して得る。フェノール類としては、チモール(40〜48.5%)、カルバクロールを1.5〜6.8%含む。
 
 ◎主要なフェノール類
  アウストラロール    オイゲノール
  カルバクロール     チモール
  カビコール 

2014年2月6日木曜日

精油の化学⑪ オキシド類

オキシド類
  ・効果① ー 去痰作用
     ② ー 抗寄生虫作用
     ③ ー 気管支・肺疾患治癒作用
     ④ ー 粘液分解作用
     ⑤ ー うっ血除去作用
 
 ◎注意
  私たちがもっともよく精油の世界でであうオキシドといえば、ユーカリ類でおなじみの1,8-シネオールである。各種のオキシドは、それぞれの化学構造によって、おのおのに相当した特異的な作用を発揮する。この点に配慮すること。
 
 ◎オキシド類を多く含有する精油類
  ヘノポジ(別名 アメリカンワームシード、ケノポジ〔ウム〕、ワームシード、アメリカアリタソウ)(Chenopodium ambrosioides var. anthelminticum)油
   アカザ科の草本だが、日本などのアカザとは異なって毒草である。
   これはヨーロッパの庭園などによく雑草として生えている。私が英国のノーフォーク州のラベンダー園を見学したとき、ラベンダー園の園長は、「この大型の草がいたるところ(everywhere)に生えてやっかいでねぇ」といいながら、この草をひっこぬいていた。この草は毒草だが、むかしのヨーロッパ人は、これを人体に害を及ぼさぬ程度に浸剤・煎剤にして服用し、虫下しにしていた。ワームシードの”ワーム”は「腹のなかの回虫」の意味である。
  カルダモン(Elettaria cardamomum)油
   ショウガ科の草本(偽茎)。この種子から蒸留抽出する。テルペンオキシドとして、1,8-シネオールを40〜45%も含む。カルダモンは、インド・スリランカ・インドシナなどに野生。インド人、古代エジプト人、ローマ人などに香味料として、また薬品として使われた。これの精油が多くの人にヨーロッパで用いられるようになったのは、1540年代半ばごろからである。
  ユーカリ(Eucalyptus globulus)油
   フトモモ科の大高木で、オーストラリアとその周辺が原産地。しかし、現在日本で販売されているのはほとんどスペイン産ユーカリ(木はせいぜい高さ40メートルぐらいにしかならない。オーストラリアでは樹高が140メートル以上にもなる。ユーカリにはこのほかにもおよそ600種の種類がある。コアラがその葉を食べるのはそのうちたったの10数種類にすぎない)。globulus種のユーカリのなかのテルペンオキシド(1,8-シネオール)は、70〜75%に達する。
  ユーカリ ラディアータ種〔シネオールケモタイプ〕(Eucalyptus radiata ssp. radiata cineolifera)油
   ユーカリの1種で、葉を蒸留して得る。テルペンオキシドである1,8-シネオールの含量は62〜72%。そのほか、ウンベリエポキシシクロモノテルペン、カリオフィレンオキシドが含まれる。
  スパイクラベンダー(Lavandula spica〔latifolia〕)油
   シソ科のこの低木の花の咲いた先端部分を蒸留して得る精油。テルペンオキシド類として、1,8-シネオール(25〜38%)、カリオフィレンオキシド、シスおよびトランス-リナロールオキシド(それぞれ痕跡量〜25%および0.1〜1.5%を含む)。
  カユプテ(Melaleuca cajuputii)油
   フトモモ科のこの大木の葉を蒸留して抽出。テルペンオキシドの1,8-リナロールがこの主要成分。マレーシア、インド、中国などでむかしから家庭薬として、胃の障害、皮膚病などの万能薬的な存在とされてきた。これには、今の日本人がもっとも気にしている放射能から人体を保護する働きがあるらしい。今後の専門家たちのこの精油についての研究に期待するところ大。
  ローズマリー〔シネオールケモタイプ(Rosmarinus officinalis cineoliferum)油
   1,8-シネオールが主要成分。ベルベノンケモタイプ油は、1,8-シネオール含量が痕跡量ないし20%。
  ローズマリー ピラミダリス種(Rosmarinus pyramidalis)油
   1,8-シネオールの含量は多い。
  セージ ラワンドゥラエフォリア種(Salvia lavandulaefolia)油
   あまり入手は容易ではないが、このシソ科低木の花の咲いた先端部分を蒸留して抽出した精油も、テルペンオキシドの1,8-シネオール含量は32%と多い。
  スパニッシュマージョラム 〔シネオールケモタイプ(Thymus matrichinus cineoliferum)油
   1,8-シネオールの含有量は、55〜75%と多く、ほかにカリオフィレンオキシドも微量ながら含んでいる。
 
 ◎主要なオキシド類
  アスカリドール(ヘノポジ油に40〜80%も含まれ、これが強力な駆虫作用を発揮する)
  ビサボロールオキシド
  1,8-シネオール
  メントフラン
  ピペリトンオキシド
  サフロール 

2014年1月23日木曜日

精油の化学⑩ モノテルペン類

モノテルペン類
 モノというのはC原子が10個ある化合物の意。
 
  ・効果① ー コルチゾン様作用
    コルチゾンとは、コーチゾンとも呼び、副腎皮質ホルモンの1種である(コルチゾン様とは、それに類似した効果を示すということ)。糖代謝を促進し、血糖を増加させ、リンパ系の作用を弱める力をもつ物質。医薬品として、その誘導体ヒドロコルチゾンが利用されている。これは、アディソン病、結膜炎、関節リウマチなどに用いる。長いこと使うと、浮腫、高血糖症などの副作用が生じる。
     ② ー 空気中の細菌を殺す作用
     ③ ー 心身の刺激作用
     ④ ー 強壮作用
     ⑤ ー 充血作用
     ⑥ ー リンパ系活性化作用
 
 ◎注意すること
  この成分が皮膚焼灼(しょうしゃく)作用を示すことがあるので要注意。とくに、ピネン、パラシメンおよびリモネンにその効果が著明。にもかかわらず、その殺菌力は比較的弱い。
 
 ◎モノテルペン類を多く含有する精油類
  アンジェリカ(Angelica archangelica)油
   このセリ科の草本(北欧・アイスランド・グリーンランド・中部ロシアなどの水の多いところを好む植物)の種子と根とから蒸留抽出する精油。
  レモン(Citrus limon)のエッセンス
   カンキツ類のミカン科の果樹の果実の果皮を圧搾してとる。リモネンというモノテルペンを、52%ないし80%も含む。
  スウィートオレンジ(Citrus sinensis)のエッセンス
   ミカン科の果実の果皮を圧搾抽出したもの。モノテルペン類をおよそ80%含有する。
  サイプレス(別名イタリアイトスギ)(Cupressus sempervirens)の精油
   ヒノキ科の木本の葉・毬果・葉のついた小枝を蒸留して得る。モノテルペン類としては、α-ピネン(45.5%)、δ-3-カレン(25.5%)を含んでいる。木部のみを原料とする場合もある(これはフェノールメチルエーテルに属するカルバクロールメチルエーテルの含量が多くなる)。
  ジュニパー(Juniperus communis)油
   ヒノキ科の木本。これは、その液果のついた小枝を蒸留して得る。非常に多量のモノテルペンを含んでいる(α-ピネンを40〜90%、β-ピネンを1.5〜4%、サビネンを10〜40%、リモネンを含有)。
  フランスカイガンショウ(Pinus pinaster)の精油
   マツ科の木本。オレオレジン(含油樹脂)または樹皮あるいは針葉を蒸留して抽出する。針葉由来のものは、αおよびβ-ピネン、δ-3-カレン、テルピノレンを含み、樹皮由来のものはモノテルペンの含量はきわめて少量で、オレオレジン由来のものはαおよびβ-ピネンをおのおの63%および27%含む。
  スコッチパイン(Pinus sylvestris)油
   マツ科の木本の針葉を蒸留して抽出。モノテルペンとしては、αおよびβ-ピネンを、それぞれ40%および13%、リモネンを20〜30%含む。
  マスティックス(Pistacia lentiscus)の精油
   ウルシ科の木本のついた小枝から蒸留抽出する。モノテルペンとしてはα-ピネン(6.5〜20%)、ミルセン(4〜15%)、サビネン(1.5〜15%)、δ-3-カレン(0.3〜0.8%)を含んでいる。
  テレビンノキ属(Pinus sylvestris、P. palustris、P. maritima)油
   このマツ科木本類の松脂、すなわちターペンタインを蒸留するとテレビン油が抽出される。これは各種のモノテルペンをそれぞれ多量に含有している。
  タイム パラシメンケモタイプ(Thymus vulgaris paracymeniferum)油
   シソ科の小低木。パラシメンを主要成分とし、さらにγ-テルピネンを含む。
 
 ◎主要なモノテルペン類
  α-ピネン     リモネン
  β-ピネン     ミルセン
  カンフェン    パラシメン
  カレン      フェランドレン
  シメン      サビネン
  ジペンテン    テルピネン

2014年1月6日月曜日

精油の化学⑨ エーテル類

 ◎エーテル類
  ・効果① ー 非常に強力な鎮痙作用
     ② ー 神経平衡回復作用
     ③ ー 鎮痛作用・不安緩解作用
     ④ ー 抗うつ作用
     ⑤ ー 抗アレルギー作用

 ◎注意
  エーテル類は、エステル類にきわめて類似した作用を示すが、人間をリラックスさせる力は、さらに強力である。

 ◎エーテル類を豊富に含む精油類
  エストラゴン(別名タラゴン)(Artemisia dracunculus)油
   キク科のこの草本の花の咲いた全草を蒸留抽出した精油。ジャン・バルネ博士は「(エストラゴンは)ヨモギ属の食用草本で非常にすばらしい香味料であり、必要な場合に、塩、ペッパーおよびビネガーの代用もつとめられる」と述べ、この精油にしゃっくりをとめるパワフルな効果があることを自分が扱った実例をあげて示している。この生の葉をハーブとして食べても同じ効果があるそうである。
  バジル(Ocimum basilicum)油
   バジルにはいくつか種類があるが、O. basilicum var. "grand vert"(グランベール変種)、O. basilicum var. minimum(ミニマム変種)、O. basilicum var. “feuilles de laitue”(「レタス葉」変種)の花の咲いた全草を蒸留して得る精油がいずれも利用される。

 ◎主要なエーテル類
  カルバクロールメチルエーテル
  メチルカビコール
  メチルオイゲノール
  ミルテノメチルエーテル
  チモールメチルエーテル 

2013年12月17日火曜日

精油の化学⑧ エステル類

 ◎エステル類
  ・効果① ー 抗痙攣作用
     ② ー 鎮静作用
     ③ ー 強壮作用
     ④ ー 神経平衡回復作用
     ⑤ ー 不整脈正常化作用

 ◎特徴
  精油類のなかに存在する各種のエステルは、その精油中のアルコール類の量にそれぞれ規則的に対応した分量で含有されている。ここに注意すること。

 ◎エステル類が豊富な精油(エッセンス)類
  ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)油
  ビターオレンジ(別名ビガラディアオレンジCitrus aurantium ssp. amara)エッセンス
   ミカン科のこのオレンジの果皮を圧搾(熱を加えない冷搾法で)して抽出したエッセンス。各種のエステルを含んでいる。
  ヘリクリスム(Helichrysum italicum serotinum)油
   キク科のこの草本の花の咲いた先端部分を蒸留してとる精油(アブソリュートを抽出することもある)。この精油はエステル分としてネリルアセテートを75%も含有する。ネリルブチレートも含む。
  真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)油
    少なくとも40%、最高で60%ものリナリルアセテートを含む。
   ヨーロッパのAFNOR規格(日本のJAS規格とJIS規格をあわせたようなもの)ではこのリナリルアセテート分が少ないと、ラバンジン油とみなされてしまう。
   日本の秋田県で試験的に植えた真正ラベンダーでも60%ものリナリルアセテートを含んでいた例が報告されている。
  ラバンジン(Lavandula hybrida)油
   真正ラベンダー(L. angustifolia)とスパイクラベンダー(L. spica, L. latifolia)との属間交雑種で、2代めができないラベンダーの一種であるため、すべて挿し木で畑に植える。現在、フランスでは真正ラベンダーは10%ぐらいしか栽培されておらず、それよりずっと育てやすく、収油率もはるかに高いラバンジンが90%も植えられており、真正ラベンダー油の生産量は以前にくらべて、大幅に少なくなってしまった(現在、真正ラベンダーがもっとも多く植栽され、その精油の生産量も世界一なのは、ブルガリアである)。ラバンジンも何種類かあり、リナリルアセテート、ボルニルアセテート、ラバンズリルアセテート、ゲラニルアセテート(それぞれの量はシュペール、アブリアリス、グロッソなどラバンジンの種類によってかなり差異がある)を含んでいる。
ラベンダーの畑として紹介されている写真は、ほとんどがラバンジンのものである。
ピュアな真正ラベンダー油と称していながら、真正ラベンダーの精油にラバンジン油を混ぜて増量したものは、なかなかGC/MS(ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー)で検査しても見分けることは難しいため、この偽和はいちだんとタチが悪い。


 ◎主要なエステル類
  ボルニルアセテート(酢酸ボルニルともいう。以下同様)
  ゲラニルアセテート
  ラバンズリルアセテート
  リナリルアセテート
  メンチルアセテート
  ミルテニルアセテート
  ネリルアセテート
  テルペニルアセテート
  イソブチルアンゲレート(アンゲリカ酸イソブチル)
  ベンジルベンゾエート(ベンジル酸ベンジル)
  シトロネリルフォルミエート(蟻酸シトロネリル)
  ゲラニルフォルミエート(蟻酸ゲラニル)
  メチルサリチレート(サリチル酸メチル)

2013年12月10日火曜日

精油の化学⑦ ジオン類およびラクトン類

 ◎ジオン類およびラクトン類

  ジオン類とラクトン類とは、いずれも微量の成分であるが、きわめて強力な活性を有する。

  ・効果① ー 非常に強い抗凝固・凝血作用
     ② ー 抗痙攣作用
     ③ ー きわめてパワフルな粘液分泌阻止作用
     ④ ー 体温低下作用

 ◎ジオン類・ラクトン類を豊富に含む精油類 ー 
  ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)油
   キク科のこの多年草の花頭を蒸留して抽出する精油
  ジャーマンカモミール(Matricaria recutita)油
   キク科のこの1年草の花頭を蒸留して得る精油
  ヘリクリスム(Helychrysum italicum var. serotinum)油
   キク科の草本の花の咲いた先端部分を蒸留してとる。ヘリクリスムは別名イモーテル、あるいはイタリアン エヴァラスティングとも称され、多くの種類があり、それぞれ精油あるいはアブソリュートとして利用される。

 ◎主要なジオン類とラクトン類
  アラントラクトン
  イリジオン
  セスキテルペンラクトン類

2013年11月28日木曜日

スウィートオレンジ・ビターオレンジ|精油(およびエッセンス)類を買うときには注意して!②

  オレンジ(スウィート)(Citrus sinensis、別名C. aurantium var. sinensis)エッセンス
  オレンジ(ビター)(Citrus aurantium ssp. amara)エッセンス

 ・いずれもオレンジの果皮を圧搾してエッセンスを抽出。
 ・原産地はインド・東南アジアと考えられる。
  現在の主要生産地は、ブラジル、米国フロリダ州・カリフォルニア州、メキシコ、アルゼンチン、インドネシア

 ・主要成分(%で示す)
   成分    スウィートオレンジ   ビターオレンジ
  リモネン    94〜98       73〜98
  ミルセン    1.6         1〜11
  α-ピネン    0.4         0.3〜1.4
  サビネン    0.4         0
  デカノール   0.3         0
  1,8-シネオール  0           0.7〜9.0

 ・微小成分類
   クマリン類とソラレン類(ベルガプテン類)がこれらのエッセンスに含まれており、これが光毒性の反応症状を惹起する。この果皮を蒸留して抽出した精油からは、これらの成分はなくなる。これをFCF(フロクマリン フリー)精油と呼ぶ。このオレンジエッセンスと精油とには多量のメトキシフラボン類が含有されており、これが存在することが、これらが天然のものである証拠の一つになる。また、αおよびβ-シネンサールは、やはり微小成分のバレンセン、カリオフィレンといっしょになって、あのオレンジ特有の香気をかたちづくっている。

 ・これらのエッセンス・精油類の偽和→偽和について
  圧搾してとったスウィート・ビターの両エッセンス類のリモネン含量は、いずれもおよそ95%である。オレンジ(スウィート・ビター)油を偽和するには、ほかのカンキツ類の果皮から安あがりにとれるさまざまなテルペン類を入れたりする。オレンジエッセンスを偽和するには、蒸留抽出したビターオレンジ油を加えたり、オレンジではないほかのカンキツ類の蒸留精油を添加したりする。とくにスウィートオレンジエッセンスに合成リモネンをたっぷり加える手は、多くの業者がひんぱんにやっている。これがアロマテラピーで効果をあげたらお笑いだ。脱テルペン、脱セスキテルペンして濃縮した「天然」物からほど遠いスウィート・ビターのエッセンスや蒸留したオレンジ油などを加えて増量することもしょっちゅうだ。BHT、BHAのような抗酸化剤を、オレンジエッセンスに入れて、足の速い、つまり酸化しやすいオレンジエッセンスの棚おき期間を長くすることもさかんに行われている。こんな化学物質が人体に害を及ぼすことは目に見えている。また、ベルガモットエッセンスと称して、香りに鈍感な消費者にいろいろなものを入れたオレンジエッセンスを売りつけるタチの悪い業者が多い。スウィートであれビターであれ、オレンジエッセンスを購入する際には、徹底的に販売責任者に疑問点を問い糺(ただ)すこと。

 ・効果 ー 心身の鎮静効果
     ー 消化器官の蠕動(ぜんどう)の力を強化し、その運動の律動性を正常にし、リズムを整える。これはin vivo(生体内)で、イヌを実験動物として用いて判断したもの。
      また、モルモットの回腸でテストしたところ、鎮痙作用が認められた。
     ー 抗菌作用。これはオレンジエッセンスの濃度などの要素によりさまざまに変化する。試験報告によっても、このエッセンスに抗菌力があることは疑いないが、その効力の強さについて、一定の報告はできない。
     ー 抗真菌作用。あまり強くない。
     ー その他の作用。フロリダオレンジエッセンスには抗酸化作用は認められない。病人などにこのオレンジエッセンスをスプレーすることで、暗くなりがちな患者に抗うつ作用を発揮する事実がわかった。これは、東京都立のある病院の末期ガン患者にたいして看護師たちが試験的に行ったことで、はっきり確かめられた。
     ー その他。各国の薬局方に、乾燥させたオレンジ果皮が記載されている。Citrus aurantium ssp. amara、ビターオレンジは、プエルトリコ人たちが非常によく使う。これは、睡眠障害、胃腸の各種障害、呼吸器系のいろいろな症状を好転させるのに有効であり、また血圧を上昇させる効果も示す。ビターオレンジの干した果皮を利用し、これをラム酒やブランデーに浸してつくるアルコール分40%のキュラソー酒は、薬酒の一種である。

2013年11月21日木曜日

精油の化学⑥ クマリン類

 ◎クマリン類
  ・効果① ー 抗凝血作用
     ② ー 抗痙攣作用
     ③ ー 血圧降下(降圧)作用
     ④ ー 反射性興奮の鎮静・減少作用
     ⑤ ー 神経活動の鎮静作用
     ⑥ ー 体温低下作用

  注意すること
   クマリン類の各種フロクマリンには、光毒性があることに注意。光毒性のある精油を皮膚に適用した場合(たとえそれが2%程度に稀釈してあったものでも)、その精油中の成分、ひろく存在する因子はフロクマリンで、その化学的構造からUV〔紫外線〕の光子エネルギーを吸収し蓄える力があり、光があたらなくなったあとになって皮膚に内側からそのエネルギーを放出し、皮膚に発赤〔ほっせき〕を生じさせ、異常な黒色色素の沈着をおこす。このシミはなかなかなおりにくい。しかし、私たちがよく注意しなければならないのは、ベルガモットエッセンス、各種カンキツエッセンス、バーベナ油ぐらいだが、一般に買ってから時間〔たとえば1年とか2年とか〕が経過したものは、何であれ注意しなくてはいけない。以下、そのほか注意したほうがよいものをいくつかあげておく。

 ◎クマリン類を多量に含む精油類 ー
  カンキツ類のエッセンスのうち、ベルガモットはベルガプテンとして含有量は格段に多いが、ほかはさほどでもない。また、カンキツ類の果皮を蒸留してとった文字どおりの精油には、古くなったものはともかくとして、光毒性がない。

  ケーラ(Ammi visnaga)油
   セリ科の草本ケーラの種子を蒸留して抽出した精油。皮膚への適用は禁忌。
  アンジェリカ(Angelica archangelica)油
   セリ科の草本アンジェリカの種子を蒸留して得る精油。これは外用してはならない精油(クマリン類とフロクマリン類、たとえばインペラトリン、キサントトキシンのようなものを含有するため)。
  セロリ(Apium graveolens)油
   セリ科のまだ種子ができていないセロリの全草を蒸留してとる精油。これも外用は禁忌(テルペン類、フタリド類、それにベルガプテンを含むフロクマリン類を含有するため)。
  エストラゴン(別名タラゴン)(Artemisia dracunculus)油
   キク科のこの草本の花の咲いた全草を蒸留してとる精油(心配するほどではないがクマリン類のエスクレチン、メトキシクマリン類のヘルニアリン、スコパロン、スコポレチンを含んでいる)。
  真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)油
   クマリン類は存在するが、案じるには及ばない(せいぜい0.25%。クマリン0.04%、ヘルニアリン50ppm、ウンベリフェロン、サントニン)。
  サントリナ(Santolina chamaecyparissus)油
   キク科のこの草本の花の咲いた先端部分を蒸留抽出した精油。クマリン含量は大したことはない。

 ◎主要なクマリン類
  セルリン
  フロクマリン
  ゲルニアリン
  ヘルニアリン
  ピラノクマリン
  サントニン
 

2013年11月17日日曜日

精油の化学⑤ ケトン類

 ◎ケトン類
  ・効果① ー ムコ多糖体症治癒作用
     ② ー 脂肪溶解作用
     ③ ー 癒傷作用
     ④ ー 抗凝固作用
     ⑤ ー 体温降下作用
     ⑥ ー 抗炎症作用
     ⑦ ー 鎮静作用
 
 
   注意すること
  不適切に多量のケトン類を用いると、期待した薬理効果と逆の結果が急激に生じるケースが多々ある。
  大量のケトン類を使用すると、神経毒性を発揮する。とくに内用は危険。
 
  ケトン類はたとえこれらを少量ずつ摂取したとしても、それが体内に蓄積していって、やはり神経毒性を発現するもとになる。ケトン類は体内で代謝され、排泄されるのに時間がかかるためである。
 
 ケトン類を豊富に含む精油類
  アルモワーズ(別名ワームウッド)(Artemisia herba-alba)油
   このキク科の草本には、ケモタイプが2種類ある。いずれも花の咲いた先端部分から蒸留して精油をとる。1つはダバノン ケモタイプで、これはケトン類を含まない。他方はツヨン ケモタイプのもので、ケトン類のα-ツヨンを64〜72%、そのほかにβ-ツヨンを含有していて、乳児・小児・妊婦はこれを使ってはいけない。神経毒性が強く、妊婦のケースでは流産が惹起されるといわれる。
  キャラウェイ(Carum carvi)油
   セリ科の草本の種子を蒸留して抽出した精油。ケトンとしてカルボンを含む。
  ユーカリ〔クリプトン ケモタイプ〕(Eucalyptus polybractea cryptonifera)油
   フトモモ科の高木の葉から蒸留抽出した精油。ケトン類のクリプトンを40%も含む。また、やはりケトン類のピペリトンを含有する。
  ヒソップ(Hyssopus officinalis)油
   シソ科の草本ヒソップの花の咲いた先端部分と葉とから抽出した精油。これにはケトン類として、αおよびβ-ツヨン、カンファー、ピノカンフォン(およそ12%)、イソピノカンフォン(32%前後)。種類によっては、ピノカンフォンを50%も含有するものがある。
   19世紀後半のパリの芸術家たちに、アブサン酒に中毒して廃人になってしまった者が多い。これはこの緑色の酒に加えられていたヒソップに含まれるαおよびβ-ツヨンのためである。
  スパイクラベンダー(Lavandula latifolia 〔spica〕)油
   シソ科小低木の花の咲いた先端部分から抽出した精油。ケトン類として、カンファー(16%)、カルボン(0.1〜0.5%)を含んでいる。
  ストエカスラベンダー(別名フレンチラベンダー)(Lavandula stoechas)油
   ケトン類としては、フェンコン(45〜50%)、カンファー(15〜30%)、ベルベノン(少量)をそれぞれ含む。強烈なカンファー臭があり、アロマテラピーではまず使われない。
  ペパーミント(Mentha piperita)油
   シソ科草本の地上部を蒸留して抽出する。メントン(20〜60%)、プレゴンその他のケトン類を含む。
  ペニロイヤル(Mentha pulegium)油
   シソ科草本のこの花の咲いた地上部を蒸留抽出したもの。ケトン類としてプレゴン(55〜95%まで)を含有する。
  ローズマリー(ベルベノン ケモタイプ)(Rosmarinus officinalis verbenoniferum)油
   シソ科のこの花の咲いた先端部分を蒸留抽出する。ケトン類としてベルベノン(15〜37%)、カンファー(1〜15%)を含む。
  ルー(別名ヘンルーダ)(Ruta graveolens)油
   ミカン科の小低木の花の咲いた全体を蒸留して得る。ケトン類として2-ノナノン(35%)、2-ウンデカノン(2.5%)が含まれる。
  セージ(Salvia officinalis)油
   シソ科の低木の花と葉とを蒸留してとる精油。ケトン類としてα-ツヨン(12〜33%)、β-ツヨン(2〜14%)、カンファー(1〜26%)ー 全体として、ケトン類を20〜70%も含む。
  サントリナ(Santolina chamaecyparissus)油
   キク科の低木の種子、あるいは花の咲いた先端部分を蒸留抽出してとる精油。ケトン類としては、アルテミシアケトン(39%)、αおよびβ-サントリネノンを含む。
  ツーヤ(Thuya occidentalis)油
   ヒノキ科の木本の小枝を蒸留し抽出する。ケトン類としてはツヨン(30〜60%)、イソツヨン(8〜14%)、フェンコン(7〜14%)、カンファー(2〜3%)などを含む。

 上記の植物精油に含まれる主要なケトン類

  ボルネオン        メチルエプテノン    カンファー
  カルボン         メチルノニケトン
  クリプトン        ピノカンフォン
  フェンコン        ピノカルボン
  フェノン         プレゴン
  イソアルテミシアケトン  ツヨン
  メントン         トランスピノカルボン
  メチルアミルケトン    ベルベノン

2013年11月13日水曜日

精油の化学④ アズレン類およびセスキテルペン類

 ◎アズレン類およびセスキテルペン類
 
  ・効果① ー 抗アレルギー作用
     ② ー 抗炎症・鎮静作用
     ③ ー 体温低下作用
     ④ ー 静脈活性化作用
 
 セスキテルペン類に属するアズレン類は、それを含む精油に多少ともブルーの色をつける。しかし、これは時間の経過とともに退色していく。
 
 アズレン類を多く含有する精油
  セロリ(Apium graveolens)油
   セリ科草本のセロリの種子を蒸留してとったこの精油は、セスキテルペン類を40%以上も含む。種子をつけていないスウィートセロリ(A. graveolens var. dulce)の全草から抽出したスウィートセロリ油もある。これも多量のセスキテルペンを含有する。
  アーテミジア(Artemisia arborescens)油
   キク科の草本のアーテミジアの葉または花の咲いた先端部分を蒸留抽出した精油で、セスキテルペン類のカマズレンとジヒドロカマズレンとをそれぞれ相当多量に含む(産地により、その量はかなり差がある)。
  イランイラン(Cananga odorata)油
   バンレイシ科のこの木本の花を蒸留(数回にわたって蒸留してとる。最初に蒸留したものが最高級品で、香りもよい。あとから蒸留したものは、それの増量剤として用いる)してとった精油。
  ジャーマンカモミール(Matricaria recutita)油
   キク科の一年草のジャーマンカモミールの花頭を蒸留した精油。カマズレン(カマズレンは、カモミールのアズレンの意)、ジヒドロカマズレンをそれぞれ相当多く含有する。
  セイロンシナモン(Cinnamomum zeylanicum)油
   クスノキ科の木本の樹皮と葉とからとる精油であるが、セスキテルペン類を多く含むのは、葉由来の精油である。
  ユーカリ(Eucalyptus globulus)油
   フトモモ科の大高木の葉から抽出した精油。
  グアイヤック(Guajacum officinalis)油
   ハマビシ科の木本の木部とオレオレジン(樹脂)とから蒸留抽出した精油。
  ホップ(Humulus lupulus)油
   アサ科のつる性草本の毬果から抽出した精油。β-カリオフィレンおよびα-フムレンの両セスキテルペンが60%も含まれている。
  真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)油
   シソ科の小低木の花の咲いた先端部分から蒸留した精油。
   セスキテルペン類としてはβ-カリオフィレン、β-ファルネセンを含有。
  レモンバーベナ(Lippia citriodora)油
   クマツヅラ科の低木の葉・小枝から抽出した精油。セスキテルペン類を18%以上含む。
  ニアウリ(Melaleuca quinquenervia cineolifera)油
   フトモモ科の木本の葉・小枝から抽出する精油。
   β-カリオフィレン、アロマデンドレンなどのセスキテルペン類に富む。
  スコッチパイン(Pinus sylvestris)油
   マツ科の木本、スコッチパインの針葉を蒸留して抽出する。セスキテルペンとしては、ロンギフォレンを含んでいる。
  ウィンターセーボリー(Satureja montana)油
   シソ科の小低木。近縁種にサマーセーボリー(Satureja hortensis)があり、いずれも香味植物としてヨーロッパ各地で愛用されてきた。これらは薬用植物として古代より有名。これのカルバクロールケモタイプがとくに有用(正式学名はSatureja montana ssp. montana carvacrolifera)。この花の咲いた先端部分を蒸留した精油。セスキテルペン類としては、β-カリオフィレン、α-フムレン、アロマデンドレン、β-ビサボレン、αおよびγ-カジネン、カラコレンを含む。
  ジンジャー(Zingiber officinalis)油
   ショウガ科の草本。根茎を利用する薬用植物として、東洋でも西洋でもひろく親しまれてきたことで有名(中国生薬名は生畺〔しょうきょう〕)。この根茎から蒸留抽出した精油。
 
  主要なアズレン類(いずれもセスキテルペンに属する)
  アロマデンドレン   ゲルマクレン
  アズレン       フムレン
  ビサボレン      ロンギフォレン
  カジネン       フェランドレン
  カラメネン      セリネン
  カリオフィレン    ビリジフロレン
  カマズレン      ジンギベレン
  グアイアズレン 

2013年11月6日水曜日

精油の化学③ アルデヒド類

 ◎アルデヒド類

  ・効果① ー 抗炎症作用
     ② ー 抗感染作用・不安緩解作用
     ③ ー 結石破砕作用
     ④ ー 体温降下作用・免疫力刺激強化作用・抗アレルギー作用

 アルデヒド類は、注意を要する。これらには「刺激作用」の強いものがあるためである。とくにセイロンシナモン(Cinnamomum zeylanicum)の樹皮から抽出した精油が含むシンナムアルデヒドは、強い刺激力がある。

 アルデヒド類を多く含有する精油ー
  セイロンシナモン(Cinnamomum zeylanicum)油
   クスノキ科の木本の樹皮から抽出した精油(シンナムアルデヒドを63〜76%も含む)
  クミン(Cuminum cyminum)油
   セリ科の草本クミンの葉からとる精油で、アルデヒド類を32%まで含む。
  ウェストインディアン レモングラス(Cymbopogon citratus)油
   イネ科の草本ウェストインディアン レモングラスの全草からとった精油には、85%もの大量のアルデヒド類が含まれる。
  レモンユーカリ(Eucalyptus citriodora)油
   オーストラリアとその周辺原産のフトモモ科の高木の葉から蒸留した精油で、これのシトロネラール ケモタイプ由来の精油は80%ものアルデヒドを含む。
  メリッサ(Melissa officinalis)油
   シソ科の草本メリッサ(レモンバームとも呼ぶ)。真正のメリッサ油は、まず入手不可能。市販の「メリッサ油」と称するものの99%は、レモングラスなど数種のハーブや化学合成物質をまぜたインチキ品と覚悟されたい。真正メリッサ油の含有アルデヒド類の全量も、15%ぐらいである。
   真正メリッサ油の価格はピュアなバラ精油と同程度の値段。すなわち同じ重量の黄金と同じ価格である。安い真正メリッサ油などというものは、絶対に存在しない。

  主要なアルデヒド類
   アニスアルデヒド
   ベンズアルデヒド
   シンナムアルデヒド
   シトラール
   シトロネラール
   ゲラニアール
   ミルテナール
   ネラール

2013年11月2日土曜日

精油の化学② モノテルペン・セスキテルペンアルコール類

 今回は、精油の重要な成分である「モノテルペンアルコール」(あるいは「モノテルペノール」)、「セスキテルペンアルコール」(あるいはセスキテルペノール)に移ろう。
 
 ◎モノテルペンアルコール類
  ・効果① ー 抗感染作用
     ② ー 免疫力刺激強化作用
     ③ ー 神経強化作用(心身強壮剤となる)
     ④ ー 殺菌・殺真菌・殺ウイルスの各作用
 モノテルペンアルコール類は、フェノール類よりも作用が穏和だが、抗感染力はフェノール類におさおさ劣らないほどパワフルである。
 
モノテルペンアルコール類を多く含む精油類 ー 
 ボアドローズ、別名ローズウッド(Aniba parvifloraおよびA. rosaeodora:クスノキ科)の木部(ただし、これは絶滅が危惧される木本植物なので、いまでは入手不可能)からとれる精油
 イランイラン(Cananga odorata:バンレイシ科の木本)の花を蒸留して抽出した精油
 コリアンダー(Coriandrum sativum:セリ科の草本)の熟した果実を蒸留して抽出したものと、葉をそのまま蒸留してとったものとがある。前者のほうが断然、モノテルペンアルコールの含量が多い(60%〜80%にもなる!)。
 そのほかにも、ジンジャーグラス(Cymbopogon martinii:イネ科の草本)の全草を蒸留抽出した精油、セイロンシトロネラ(Cymbopogon nardus)の全草を蒸留してとった精油、ラバンジン(Lavandula hybrida、すなわちLavandula angustifolia〔真正ラベンダー〕とL. spica〔スパイクラベンダー〕との属間交雑種)からとった精油、ティートリー(フトモモ科の木本)の葉の精油(50%もこれを含む)、ペパーミント(シソ科の草本)の全草の精油(48%におよぶ含有量。この精油独特の清涼感は主としてこれに由来する)、「レタス型葉」バジル(Ocimum basilicum “feuilles de laitue”)の開花時の全草からとった精油(65%もの含量)、マージョラム(Origanum majorana:シソ科)の花の咲いた先端からとった精油(50%にも達する含量)、ローズゼラニウム(フウロソウ科の草本だが、ケモタイプまたはケモバーによって成分はいろいろに異なる。ローズゼラニウムの「ブルボン」ケモバーにいたっては、80%ものモノテルペンアルコールを含有する。)あと、シソ科の小低木Thymus vulgaris、つまりタイムの精油は、ケモタイプ(それが生育した土地により、いつも一定の特殊な化学構成を有するものをこう呼ぶ)が多く、ケモタイプごとにモノテルペンアルコール分の量が異なる。
 
 タイムのゲラニオールケモタイプの精油は、ほとんどがゲラニオール(これはモノテルペンアルコールの一種)だ。タイムのリナロールケモタイプは60%〜80%の含量である。ツヤノール-4-ケモタイプは、およそ50%の含量である。パラシメンケモタイプは、その含有量がぐんと落ちる。
 
 各種の精油が含むモノテルペンアルコール類
  ボルネオール、シトロネロール、クミノール、フェンコール、グアイヤオール、ゲラニオール、ラバンズロール、リナロール、メントール、ミルテノール、ネロール、ピペリトール、テルピネオール、ツヤノール、トランスピノカルベオール
 
 ◎セスキテルペンアルコール類(セスキはC15の意)
  ・効果① ー 免疫力刺激強化作用
     ② ー 心身強壮作用
 
 セスキテルペンアルコール類には、毒性を有するものはない。
 
 ◎セスキテルペンアルコール類を含有する精油
  キャラウェイ(Carum carvi)油
  セリ科の草本。その種子を蒸留してとったもの。
  ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)油
  このキク科の草本の花頭を蒸留して抽出した精油。
  ジャーマンカモミール(Matricaria recutita)油
  このキク科の草本の花頭を蒸留した精油。
  キャロット油
  野菜のニンジンすなわちセリ科の草本Daucus carotaの種子を蒸留してとった精油。
  ユーカリ油
  オーストラリア原産のフトモモ科の大高木の葉を蒸留して抽出した精油。ユーカリには多数の変種があるが、ふつう精油用に使用されるのはEucalyptus globulus、次いでE. citriodoraなどである。
  ニアウリ(Melaleuca quinquenervia)油
  このフトモモ科の木本のシネオールケモタイプとネロリドールケモタイプの葉からとった精油。
  オリガヌム コンパクトゥム(Origanum compactum)油
  シソ科のこの草本の花の咲いた先端部分を蒸留した精油。
  マスティックス(Pistacia lentiscus)油
  このウルシ科の葉のついた小枝を蒸留して得た精油。
  パチュリ(Pogostemon patchuli)油
  このインド産のシソ科の花の咲いた全草を蒸留して得た精油。
  セージ(Salvia officinalis)油
  シソ科のこの小低木の花の咲いた先端部分を蒸留した精油。
  クラリセージ(Salvia sclarea)油
  シソ科のこの小低木の花の咲いた先端部分を蒸留してとった精油。
  サンダルウッド(Santalum album)油
  ビャクダン科の木本であるが、この木の最高の産地、インドのマイソール産の「真正」サンダルウッドは、犯罪行為スレスレのよほどの奥の手を使わなければ、入手不可能なのが現状である。
 
 ◎主要なセスキテルペンアルコール類

  アンテモール、ビサボロール、カロトール、カルベオール、セドロール、ダウコール、グロブロール、オクテン-3-オール、パチュロール、サルビオール、サンタロール、スクラレオール、ビリジフロール